針子生存率を最大化する生化学的アプローチ 〜 オクト・キリーベビーの選定とインフゾリア培養プロトコルの確立

ベランダ循環系を加速させる新アセットの調達報告

Veranda Aqua Laboでは、主力個体であるネプチューンの次世代、すなわち針子(稚魚)の生存率(歩留まり)を極限まで高めるための生化学的アプローチを開始しました。今回、マッドマン川崎ラゾーナ店において、針子専用フードおよび初期生き餌となるインフゾリア(ゾウリムシ)の調達を行いましたので、その選定理由と培養プロトコルを報告します。

高栄養・プロバイオティクスに基づく人工飼料の選定

当ラボが今回採択した人工飼料は、オクトジャパン社のオクト キリーベビーです。本製品を評価・選定した理由は、その卓越した成分構成にあります。

評価項目 オクト キリーベビー 期待される効果
粗蛋白質含有量 52.0%以上 初期針子の急速な細胞分裂および骨格形成の促進
配合細菌群 乳酸菌、酪酸菌、糖化菌 腸内細菌叢(フローラ)の早期構築による消化吸収率の向上
粒子サイズ 微細パウダー状 孵化直後の極小な口径に適応、摂食エラーの防止

特に乳酸菌、酪酸菌、糖化菌の3種の善玉菌によるプロバイオティクス効果は、免疫力が極めて低い針子の初期死亡率を大幅に低下させることがデータ上期待されます。

インフゾリア(ゾウリムシ)の導入とエビオス錠による培養プロトコル

人工飼料の食べ残しによる水質悪化を防ぎ、かつ24時間絶え間ない摂食環境を提供するため、最強の生き餌としてゾウリムシのボトルを導入しました。この微小生物は、当ラボの既存アセットであるエビオス錠を用いることで、容易に自家培養(無限増殖)が可能です。

ゾウリムシのエビオス増殖プロトコル(500ml基準)

  • ステップ1(滅菌と注水): 洗浄済みのペットボトルを用意し、種水となるゾウリムシ液を全体の30%から50%程度注入する。残りのスペースには、必ずカルキ(塩素)を完全に除去した水を80%から90%のラインまで注水する。
  • ステップ2(培地の投入): エビオス錠を0.5錠から1錠投入する。過剰投与は腐敗の原因となるため、初期は微量が望ましい。
  • ステップ3(初期攪拌): フタを密閉し、エビオス錠が完全に溶解して溶液全体が乳白色に推移するまで激しく振盪(しんとう)させる。
  • ステップ4(通気性の確保): 振盪後、フタを完全に緩めるか、乗せるだけの状態にする。
※購入したゾウリムシは、500mlのカルキ抜きしたエビオス液の4つのペットボトルへ分割して増殖状態にし倉庫置きになりました。最適温度域は20〜25℃、完全な暗所での培養が可能な事から、雑菌・藻類の混入を防ぐ目的で暗所の方が適していると考えます。
Labo's Note: PSB培養プロトコルとの決定的な相違点
当ラボで検証を続けているPSB(光合成細菌)の純水×エビオス錠培養は、酸素を嫌う厭気性(あんきせい)のプロセスです。そのため、ボトルのキャップを極限まで密閉し、空気を排除する必要があります。しかし、今回導入したゾウリムシは高酸素を要求する好気性の生物です。そのため、水と空気の扱いが完全に真逆となり、ボトル上部に空気層を残し、フタを緩める通気プロトコルが必須となります。この相違点を誤ると、酸欠による全滅(クラスターの崩壊)を招くため注意が必要です。

日々のマネジメントと爆増の考察

培養開始後は、1日1回フタを閉めて数秒間攪拌し、水中に新鮮な酸素を供給した後に再びフタを緩めます。常温下(20度から26度)において、4日から7日後にエビオス錠由来の濁りが消散し、水面付近に白い雲霧状のゾウリムシ・クラスターが確認できれば増殖成功と判定します。

稚魚への給餌方法は、水面付近に集まったゾウリムシをスポイトで直接吸い取り、そのまま稚魚水槽へ給餌します。20匹程度の稚魚へは1回約5ml(ペットボトルキャップ1杯)を1日2,3回与えます。

この好気性インフゾリア循環系が確立されることで、当ラボが目指す電源なしベランダ環境における、メダカの排泄物からミジンコ、そして針子へと繋がるベランダループ構想の重要なピースがまた一つ埋まったと言えるでしょう。